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笹幸恵
2020.6.22 22:27日々の出来事

賢い進歩主義者のつもりか?

先週、大学のオンライン授業で、学生たちに聞いた。
「オンラインが続いていること、どう思う?」
2,3名は、このままオンラインでもいいという意見。
外出しなくていいし、化粧もしなくていいし、
ラクだから、とのこと。
ほか20名以上の学生は、早くキャンパスに行きたい
という意見だった。
オンラインの授業ではやりにくい、
とくに1年生は、友達ができないから不安…とのこと。

大学生ですら友達ができず不安を感じている。
幼い子ならなおさらだろう。

今日、こんな記事が配信された。

「自ら髪を抜いた娘、気づけなかった母 3ヵ月は長かった」

小学6年生の女の子が、休校と外出禁止が続き、
友達に会えない寂しさで気が付いたら髪の毛を抜き、
500円玉大の地肌が見えていたという。
ストレスによる自傷行為。
母親も家事に忙殺され、売上減で会社にいつ解雇されるか
わからない不安を抱えつつフルタイムで懸命に働き、
それゆえ娘の自傷に気付いてやれなかった。

女の子は、自分で髪の毛を抜いて薄くなっていることを知り、
親には言わずに家にあった育毛剤を使っていたという。

なんだか胸が締め付けられる。
お母さんが悪いわけでもない。
子供が悪いわけでもない。
場当たり的な対応しかできなかった政府、
そしてコロナ恐怖を煽り、人々に植え付けまくった
メディアの責任は大きい。

安倍政権(もはや存在がどんどん薄くなっているが)や
小池百合子、そして玉川徹や岡田晴恵は、
こうした市井の人々の生々しい生活実態を
知っているだろうか。知ろうとしただろうか。
あるいは少しでも想像したことがあるだろうか。

「検査!」「隔離!」「検査!」「隔離!」
バカの一つ覚えのようにそれを繰り返して、
自分は安全地帯に居座りながら正義を振りかざす。
なんという傲慢だろう。
本当の弱者は、その声に存在すらかき消されているというのに。

新しい生活様式?
ふざけんじゃないよ。
賢い進歩主義者のつもりか。
学びの場を、友達をつくる機会を、
人と人とが対面してこそ得られる人生の機微を、
奪う権利など誰にもない。

これから私たちがやるべきことは、
新しい生活様式なんてものを実践することではなく、
一連のコロナ対策の検証と、何が大切なのか、
私たちは国家として個人として何を大事にすべきなのか、
もう一度足元を見つめることではないのか?

コロナが怖くて浮き足立っている人に、
果たしてこの声が届くだろうか。
薄くなったを頭皮を懸命に取り繕おうとした女の子の
思いが届くだろうか。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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